2006年2月15日、公式HPで第四次殿堂レギュレーションが発表された。
新しく殿堂入りしたのが、【炎槍と水剣の裁】。
そして新たなレギュレーション、プレミアム殿堂(=実質"禁止")入りしたのが【無双竜機ボルバルザーク】である。
今回は、この2枚の殿堂入りによってメタとなる(=流行の中心)デッキがどう変わっていくのかを、考察していきたいと思う。
(…この書き方、気持ち悪いな……。)
まずは、この2枚の効果をおさらいしておこう。
無双竜機ボルバルザーク
7コスト(火/自然)アーマード・ドラゴン/アース・ドラゴン 6000
■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、他のパワー6000のクリーチャーをすべて破壊する。
その後、このターンの後にもう一度自分のターンを行う。そのターンの終わりに、自分はゲームに負ける。
■スピードアタッカー
■W・ブレイカー
炎槍と水剣の裁
6コスト(水/火)
■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■パワー3000以下のクリーチャーをすべて破壊する。その後、破壊したクリーチャー1体につき1枚カードを引いてもよい。
実は、2枚ともレインボーなのだがそれはさておき。
殿堂発表前には、この2枚が猛威を振るっていたのは皆さんご周知の通り。
殿堂前のメタデッキは
●闇入り4色【無双竜機ボルバルザーク】
●水【無双竜機ボルバルザーク】
●【無双竜機ボルバルザーク】ステロイド(=赤緑の2色構成。安定性に欠ける為、登場当初よりは姿が減った。)
●除去コントロール
●速攻各種(特に赤緑)
●【バジュラズ・ソウル】
●WS(【炎槍と水剣の裁】により、撲滅寸前だった。)
●【聖皇エール・ソニアス】入り除去コントロール
(フィニッシャーの【聖皇エール・ソニアス】が除去されにくいので、少数派ながら存在した事は確か。)
●各種マナ破壊(俗に言う"ランデス")(実はこれにも【無双竜機ボルバルザーク】投入可能)
と、【無双竜機ボルバルザーク】だらけという環境でした。
とにかく、火と自然が入っているデッキならば確実に投入され、一時期の【サイバー・ブレイン(殿堂)】並の普及率でした。
それでどこが問題なのかというと、デュエルが面白くなくなるという根本的な事実。
確かに、いくらでも対策は出来るのです。
「所詮はクリーチャー。手札やデッキから落とせば問題なし!」「他にクリーチャーがいなければ、全く怖くない!」等の考え方もあります。
しかし…。そんなゲーム、面白いですか?
手札やデッキから墓地へ⇒つまりは【ロスト・ソウル】や【ヘル・スラッシュ(殿堂)】が入った除去コントロール。
他のクリーチャーを除去する⇒【地獄万力】【サウザンド・スピア】や、【炎槍と水剣の裁】といった全体除去入りの除去コントロール。
そう、解決策はほぼ全て除去コントロールへと向かってしまうのです!
除去コントロールの戦法は、
相手が何も出来なくなるほど場を制圧後、【ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン】等で安全にシールドを削ったり、
【ロスト・チャージャー(殿堂)】【フューチャー・スラッシュ(プロモ)】でデッキアウトを狙うなんていう面白くもなんともないデッキ。
しかもその面白くもないデッキにも、色が合ってしまう為【無双竜機ボルバルザーク】が入るという、DMが嫌いになる悪循環を与えてきたのです。
勿論、この程度じゃ収まりません。
次に「このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、他のパワー6000のクリーチャーをすべて破壊する。」という能力。
【呪紋の化身】とのコンボを防ぐ為でしょうが、これが非常にウザッタイ効果。
火キラーである【電脳聖者タージマル】と全体除去対策の【曙の守護者パラ・オーレシス】が並んでいると、
こいつが出てくるだけで【電脳聖者タージマル】さんは御陀仏。
さらに【呪紋の化身】を封じる為のこの効果(あくまで推測ですが、ね)も、13弾で登場した【無双恐皇ガラムタ】将軍によりデメリットが0に
(元々ないようなものですが)。
そして「このターンの後にもう一度自分のターンを行う。そのターンの終わりに、自分はゲームに負ける。」という能力。
これが一番マズかったのではないかい?
つまりは、2ターンの間相手プレーヤーは勝敗に関わらず、相手の動作をただただ見つめているだけでデュエルが終了してしまうということ。
そんなカード、今までありませんでしたよ。
9弾で似たような効果の【聖剣炎獣バーレスク】が登場しましたが、こいつの場合は相手も手に汗握る気持ちでシールドを捲れたでしょう。
ネックである"重さ"や"ブロッカーの存在"を乗り越えられてもなお、"S・トリガー"という最後の砦が残されてましたし。
だが、【無双竜機ボルバルザーク】の場合は違います。
シールドに何が入っていようと、勝手に相手が自爆死するか自分が殴られて負けるかの二者択一でしかないのです。
実際、全く面白くないです、ええ。
大きな大会の決勝戦ならまだしも、友人とのデュエルでこんな場面に遭遇した場合、あなたはそれでも平常心を保ってられますか??
DMは元々、ディメンション・ゼロ等とはコンセプトが違い、あくまでも小さい子供(〜小学生あたり)をターゲットとした商品なのです。
そして、そんな子供達が一番多くデュエルをするのは、公式大会でもありません、近くの店での大会でもありません。
自らの多くの友人達だということは、皆さん良くお分かりでしょう。
そんな対戦での、そのような出来事はちょっと…というかかなり嫌ですよね。
故に、少しずつユーザーが減ったという現象も、一定期間ですが見られたのではないでしょうか。
話が脱線しました。銀河系の彼方へ行く前に、路線を戻します。
次に「スピードアタッカー&W・ブレイカー」という点。
結局のところ、こやつも超優秀なアタッカーとなってしまった、という点もプレミアム殿堂の判定ラインに触ったのでは?
スピードアタッカーでW・ブレイカーといえば、【ツインキャノン・ワイバーン】【バザガジール・ドラゴン】等が思い浮かびます。
この二体、実際出されても前者は殴り返し、後者は手札破壊(俗に言う、"ハンデス")で対策出来ます。
しかし、【無双竜機ボルバルザーク】は・・・。わざわざ述べる必要もありませんね(苦笑)
ただ、今回の処置は、発売当初から「強い!」と言われ続け、価値が高騰&元々レアリティが高めなこのカードを一生懸命集めた子供達を切り捨てる
ような印象もあります。
しかし、それはFB徳島さんらが延々言われ続けてきましたが、「(Minority)プレイヤーとDMという一ホビーの存続とどっちをとるか」
という簡潔な二者択一問題になりますね。
勿論重視すべきなのは後者ですよね。
けれども、苦渋の決断だったことに変わりはありません。惜しみない敬意を払って、プレミアム殿堂を受け入れましょう。
つい筆が滑って【無双竜機ボルバルザーク】について延々と語ってしまいましたが、続いて【炎槍と水剣の裁】へ。
【炎槍と水剣の裁】の効果を分かりやすく書きなおすと
■3000以下をことごとく墓地送り
■墓地送りの分だけ、手札アドバンテージを得る
という感じですね(逆に難しくなった気が・・・)。
これも、対策しようと思えばできます。
簡単に言えば、パワー3500以上だけしかクリーチャーを入れないということです、はい。
【炎槍と水剣の裁】によって進化で勝つデッキは弱体化しました
(進化種はほぼパワー3000以下が主要。進化前に【裁】かれてしまうと、立て直せません)。
そこで、パワー3500以上がデッキを占めるとなると、必然的に重めの構成となります(何やら不安な予感が・・・)。
そう、ここでも対策デッキとなるのは除去コントロールなのです、ああ・・・・・・。
またもや、【炎槍と水剣の裁】も色が合う為除去コントロールに投入可、というか寧ろ入れるべき。
しかも、ドロー出来る枚数は自分の墓地送りクリーチャーも含まれる為、【飛行男】や【予言者ファルシ】等自爆系との組み合わせも可能でした。
(軽く考察すると
〜【飛行男】の場合〜
【炎槍と水剣の裁】発動⇒【飛行男】墓地へ、これで1ドロー⇒【飛行男】効果で相手の手札1枚破壊。よって、こちら0に対し相手−1.
〜【予言者ファルシ】の場合〜
【炎槍と水剣の裁】発動⇒【予言者ファルシ】墓地へ、1ドロー⇒効果で先程撃った【炎槍と水剣の裁】等回収。よって、相手0に対しこちら1.)
その他にもいろいろいるんですが、まあ割愛。
もう一つ問題点として、コストに対する効果の強大さという点もあります。
ここで比較対象になるのが【灼熱波】・【バースト・ショット】・【サウザンド・スピア】・【ドラゴン・シャウト】の4枚。
ROUND 1〜vs.【灼熱波】〜
灼熱波
5コスト(火)
■相手は、バトルゾーンにある自分自身のパワー3000以下のクリーチャーすべてを、持ち主の墓地に置く。
■ 自分のシールドが1枚でもあれば、裏向きのまま1枚選び、自分の墓地に置く。
⇒強いのは【炎槍と水剣の裁】の方だというのは、一目瞭然。
破壊するクリーチャーのパワーの上限は両者同じ。
差が出たのは、コストと追次効果の面。
片や1コスト高くなる代わりに"破壊数と同数のカードドロー"というプラスアドバンテージ。
片や"シールド破壊が前提"というマイナスアドバンテージ(デッキによってはプラスにもなるが)。
<結果>安全で尚且つ使いやすいのは、【炎槍と水剣の裁】。
ROUND 2〜vs.【バースト・ショット】〜
バースト・ショット
6コスト(火)
■S・トリガー
■各プレイヤーは、バトルゾーンにあるパワー2000以下のクリーチャーすべてを、それぞれ墓地に置く。
⇒これはコストが同じという共通項有。
差となったのは、「速攻に対する」能力。
【バースト・ショット】はS・トリガー付であるので、速攻相手にもかなりダメージを与えられます。
一方【炎槍と水剣の裁】は、速攻相手にはほぼ撃つことができないでしょう。
最近の速攻は、【無頼勇騎ゴンタ】【放浪兵エルジージョ】等高パワークリーチャーの増量で、【炎槍と水剣の裁】ではサイズが追いつかず、
そのまま殴りきられてしまいます。
しかし、それは限定された状況での比較であり、一般的な状況では【炎槍と水剣の裁】の方が汎用性が高いのは自明の理。
<結果>特殊な状況を除くと、使われるのは【炎槍と水剣の裁】。
ROUND 3〜vs.【サウザンド・スピア】〜
サウザンド・スピア
6コスト(火)
■バトルゾーンにあるパワー4000以下のクリーチャーをすべて持ち主の墓地に置く。
⇒コイツと【炎槍と水剣の裁】を比較するよりは、どっちも入れるべきなんですけど(笑)
【サウザンド・スピア】の利点は、その破壊可能領域の広大さ。
厄介な【光器ペトローパ】や赤緑速攻に積まれる【無頼勇騎ゴンタ】や【放浪兵エルジージョ】も焼けるというのは、普通に強力。
ただ、【炎槍と水剣の裁】のように手札が満ちる訳ではないので、【エナジー・ライト】等の後押しが必要。
<結果>両者とも強力だが、制圧力が大きいのは【炎槍と水剣の裁】。
ROUND 4〜vs.【ドラゴン・シャウト】〜
ドラゴン・シャウト
6コスト(火)
■6000以下の数字をひとつ選ぶ。その数字と同じパワーを持つクリーチャーをすべて破壊する。
⇒【ドラゴン・シャウト】の利点は、【炎槍と水剣の裁】はおろか【サウザンド・スピア】でも追いつかないサイズをまとめて焼ける(可能性のある)ところ。
ただ、その能力が発揮できるのは、WSを相手にした時程度。
汎用性では、【炎槍と水剣の裁】の足元にも及びません。
<結果>普通に【炎槍と水剣の裁】の方が使いやすい。
結論:【炎槍と水剣の裁】はどの全体除去よりも勝っており、且つ、壊れてるほどの強さである。
上にダラダラと書いてきましたが、結局この殿堂でどう変わるのか!それを考察していきますよ。
まず考えられるのは、【無双竜機ボルバルザーク】関連デッキの仮消滅(当たり前だ)ですね。
「仮」と書いたのは、実際それらは【無双竜機ボルバルザーク】が入らなくても十分成り立つからなんです。
例えば、闇入り【無双竜機ボルバルザーク】デッキ。
実質、このデッキに【無双竜機ボルバルザーク】を無理して入れる必要性は感じられません。
【ロスト・チャージャー(殿堂)】等で引っこ抜かれても、特に支障はなかったはずです(あったに越した事はないですけど)。
「なら何故禁止になった!!」というと、【無双竜機ボルバルザーク】は今のDM暗黒ゲームの象徴。
だから、ご退場願ったと。そういうことだと思います。
話を戻して。
まずは、全体除去の後退により、軽めのクリーチャーを並べるデッキ―つまり進化デッキの再興が考えられます。
"進化"は、殿堂前でも使われていましたが、進化種が【炎槍と水剣の裁】で流されてしまうのがネックでした。
それを克服する為に、パワーが高い種を使おうとしても、重過ぎるためスピードが遅くなり、結果として流行にはいたりませんでした。
今回の殿堂で、ガーディアン・イニシエート・ビーストフォーク等が巻き返し、さらに超強力パンプアップクリーチャーである
【光器ペトローパ】もかなり使われることになるでしょう。
次に、CDPの【ストリーミング・チューター】による環境変化。
色的にも能力的にも、自然と相性バッチリ!!なこのカード。
ええ、どう考えても青赤緑ランデスに搭載されるんですよ。
ドローが強ければ、自ずとそのデッキも強化されるのは、【アストラル・リーフ(殿堂)】【サイバー・ブレイン(殿堂)】【アクアン(殿堂)】で実証済み。
次回、次々回の殿堂入りは濃厚ですな。
ということで、ランデスも次期メタデッキの一角を占めることは間違いないですな。
最後に次期のメタデッキを、簡単に予想してみたいと思う。
まずは、ランデス―マナ破壊がその筆頭に来るだろう。
引き続き【バジュラズ・ソウル】も大暴れするだろう。
そして、闇【無双竜機ボルバルザーク】の【無双竜機ボルバルザーク】抜きver.も、まだまだ普及するだろう。
前述した通り、【無双竜機ボルバルザーク】が入っても入ってなくても強いのが一連の【無双竜機ボルバルザーク】デッキなのだから。
意外なところでは、【精霊王アルカディアス】デッキも流行するかもしれない。
ランデス系呪文をシャットアウトでき、何故か殿堂入りしなかった【母なる大地】【魂と記憶の盾】【ロスト・ソウル】を抑えることも可能である。
【転生プログラム】を使ったコンボデッキも【ボルメテウス・サファイア・ドラゴン】の出現で、より使われることになるだろう。
そして速攻各種。
その中でも、赤緑はパワー・スピード共に他タイプを凌駕している。これからも、トーナメントデッキの中心であり続けるだろう。
ランデス・速攻に耐久を持てる【神魂の守護者シュノーク・ラー】入りガーディアンも普及する可能性は高い。
俗に言う"マナソース"各種も、除去以外にはまだまだ通用するだろう。
現在(2006/3/14)、ネットで流れている情報に「ギャラクシーリーグでは14弾以降しか使えない」というものがある。
18弾は1〜9弾の復刻版らしいので、結局10〜13弾使用禁止と置き換えても差し支えはないでしょう。
ということは、17弾で出る「進化クロスギア」以外の虹カードは使用不可。
今回の殿堂にも反映されているのかな?
大切なのは、一つの情報を鵜呑みにせず、様々なサイトを回って自分なりの知識を深めること。
今回のコラムは、その手助けになるように作成しました。
それでは、それぞれの良きDMライフを!